「この食材、いつまで食べられるの?」と疑問に思った時に目安になるのが、パッケージに記載されている日付。でも、よく見ると「賞味期限」あるいは「消費期限」と書かれていませんか?
似たような意味に捉えられがちですが、実は賞味期限と消費期限にははっきりとした違いがあります。
そこで今回は、両者の具体的な違いや身近な食材の期限などについてご紹介しましょう。
そもそも賞味期限と消費期限は何が違う?
賞味期限と消費期限の違いには、食品の持つ特性や安全性などが大きく関わっています。
二つの言葉の意味を理解していれば、買った食材を無駄なく安全に食べることができるので、食品ロスを減らすためにもぜひ覚えておきましょう。
賞味期限とは?
「賞味期限」とは、食品を未開封の状態で保存していた場合に、「おいしさを損なわずに食べられる期限」のことを指します。そのため、賞味期限を過ぎたからといって、すぐに食べてはいけないほど品質に変化が起こるわけではありません。
賞味期限はスナック菓子、インスタント麺、缶詰、ペットボトルの飲料など、傷みにくい食品に使用されることが多いのが特徴です。
また、中には賞味期限の記載が「年月」のみになっている物もありますが、このような表示は製造から3ヵ月以上日持ちする食品に対して許可されています。
消費期限とは?
「消費期限」とは、未開封の状態でその食品を「安全に食べられる期限」のことを指しています。期限を過ぎると食品の安全性がなくなる恐れがあるため、食べないようにしましょう。
消費期限が記載されることが多いのは、お弁当・お惣菜・食肉・調理パン・生菓子など、品質の劣化が進みやすい食品です。
このような食品はもちろん、賞味期限が記載されている食品も、保存方法を守らないと期限より早く傷んでしまうことがあるので、温度や湿度に十分注意して保存することが肝心です。
そもそも賞味期限と消費期限の日数の違いは?
賞味期限または消費期限のどちらを記載するかは、食品衛生法やJAS法などによって決められています。
それによると、「消費期限」を記載する対象となるのは、製造日からおよそ5日以内に品質が劣化する食品で、その日付は品質の安全性を保証する期限とされます。
一方、「賞味期限」の対象となるのは5か以上日持ちする物で、製造日から3ヵ月以内に期限を迎える物には年月日を表示、3ヵ月以上劣化しない物には年月日または年月を表示することになっています。賞味期限の場合は、おいしさが保証される日付を期限としています。
賞味期限と消費期限の決め方にルールはある?
厚生労働省と農林水産省が提示する「食品期限表示の設定のためのガイドライン」では、食品の保存温度や複数の検査などを元に賞味期限・消費期限を決めることを求めています。
例えば、常温保存が推奨される食品であれば、その上限とされる35℃の状態で一定期間保管し、微生物の量や見た目・味の変化などについて調べます。そして、問題なく保存できた日数に対し、安全係数とされる約0.8を掛けた日数を賞味期限または消費期限としています。
【食材別】賞味期限の目安
購入する頻度の高い食品は、期限までに食べ切れずに無駄にしてしまうことも多いものです。そこでここからは、身近な食品の賞味期限の目安をご紹介しましょう。おおよその日数を覚えておけば、食品ロスを減らすことができるはずです。
卵の賞味期限
卵の賞味期限は、冷蔵保存した状態で安全に生食できる期限を表しています。その日数は季節によって異なりますが、年間を通じてパック詰めをしてから約14日間が一般的です。産卵後から数えると、春秋は25日以内、夏は16日以内、冬は57日以内とされています。
期限を過ぎた卵は生食を避け、しっかり加熱して食べましょう。卵のみを調理する場合は70℃で1分以上、他の食材と一緒に調理する場合は75℃で1分以上の加熱をすると安心です。
牛乳・ヨーグルトの賞味期限
牛乳の賞味期限は製造日から約1週間が目安です。ただし、殺菌レベルの高いESL製法の牛乳は製造日から約2週間、高温で殺菌して真空に近い状態で充填した常温保存可能品の牛乳は60日以上保存できます。
一方、ヨーグルトはプレーンタイプが約2週間、砂糖などを加えてプリン型に固めたハードタイプや、攪拌したソフトタイプは約2~3週間が目安です。
しかし、どの製品も開封後は一気に品質が変化するため、早めに食べ切るようにしましょう。
豆腐の賞味期限
豆腐は種類によって賞味期限が大きく異なります。水が入った容器に保存されている豆腐は水入り豆腐と呼ばれ、製品によって違いはありますが、賞味期限が3~10日くらいと短めなのが特徴です。
一方、豆乳や凝固剤を容器に入れてから加熱する充填式豆腐は、真空のまま殺菌されているため、賞味期限が1~2か月くらいとかなり長くなります。
ただし、これはあくまでも未開封の状態の期限です。開封後は水入り豆腐も充填式豆腐も日持ちしないため、2~3日以内に食べ切りましょう。
魚の賞味期限
鮮魚の場合は傷みやすいため、賞味期限ではなく消費期限が記載されているのが一般的です。スーパーの店頭に並ぶ魚は市場で仕入れた物が多いので、お店で加工する時点で水揚げした日から1日以上経っていると考えた方がよいでしょう。
消費期限はお店での加工日から換算されるのが基本で、お刺身は主に当日中、丸魚や切り身は2~3日以内とされていることが多いです。
一方、干物などの加工品には賞味期限が記載されており、その日数は大体5日くらいです。また、冷凍の魚であれば賞味期限はさらに長くなり、約1ヵ月あるいはそれ以上保存できる物もあります。
肉の賞味期限
精肉は品質の劣化が早いため、ほとんどの場合において賞味期限ではなく消費期限が記載されています。そして、具体的な期限はお肉の種類や形状によって異なります。
例えば、塊肉を冷蔵室またはチルド室で保存する場合、牛肉と豚肉は6~7日、鶏肉は4~6日くらいが目安となります。
一方、スライスした牛肉は6~7日、豚肉は5~6日です。さらに、挽肉は空気に触れる部分が増えるので、牛肉と豚肉は3~5日、鶏肉は2~4日くらいが期限となります。
納豆の賞味期限
納豆は冷蔵庫で保存することを前提として、多くは約7~10日程度を賞味期限としています。発酵食品の中には味噌や醤油のように長く日持ちする物もありますが、納豆は10℃以上の環境下では発酵が進んで腐敗してしまうので注意しましょう。
賞味期限を過ぎた納豆は再び発酵を始め、表面が白っぽくなったり乾燥したりします。さらに発酵が進んでアンモニア臭がしたり、水っぽくなったりすると、腐敗しているサインです。
どうしても食べ切れない場合は、冷凍保存がおすすめです。冷凍庫では約1ヵ月くらい保存が可能です。
パンの賞味期限
パンは品質の劣化が進みやすいため、賞味期限ではなく消費期限が記載されるのが一般的です。スーパーで販売している食パンやフランスパンは3~5日くらいですが、パン屋の場合は添加物が入っていなかったり、袋詰めされていないこともあるので、2~3日くらいが目安です。
また、惣菜パンや菓子パンは具材の品質が変化するため、その多くは当日または翌日くらいまでを消費期限としています。
一方、パンの中にはロングライフパンという長く日持ちする物もあります。これは自然酵母のパネトーネ種を使ったパンで、微生物の繁殖を抑える力があることから、約50~60日程度日持ちします。
お菓子の賞味期限
お菓子の賞味期限は種類によって異なりますが、全体的に長めなのが特徴です。具体的にはクッキーが半年~1年、スナック菓子やおせんべいが4~5ヵ月、チョコが1年、飴が1~2年くらいです。
ちなみに、ガムは水分がほとんどなく、品質がほぼ変わらない材料を使用しているため、一般的に賞味期限の記載はありません。ただし、キシリトールガムなどの特定保健用食品は賞味期限の記載が義務付けられており、1年半くらいを期限としています。
賞味期限管理アプリで食品ロスを防ぐ
どんなに気を付けていても、購入した食品の賞味期限がいつの間にか過ぎてしまうことはありますよね。そこでおすすめなのが、登録した食品の賞味期限をお知らせしてくれるアプリ「賞味期限管理のリミッター(Limiter)」です。
操作はとても簡単。アプリをダウンロードして食品のバーコードをスキャンするだけ。商品名が自動で登録され、賞味期限を入力すると、希望するタイミングで期限が近いことを通知してくれます。
買い物リストの作成やネットショップでの購入も可能なので、食品を無駄なく在庫管理できるようになりますよ。
賞味期限と消費期限に関するQ&A
賞味期限や消費期限について、いろいろな点がお分かり頂けたでしょうか?
ここではさらに、表示に関する疑問や食品の保存方法などについて、よくあるQ&Aを簡単にご紹介しましょう。食品の安全性に対して、より深い関心を持てるはずです。
賞味期限表示に付いているアルファベットの意味は?
賞味期限の横に記載されているアルファベットや数字は、メーカーが製造情報を識別するために表示しているものです。製造所の固有記号、製造機の記号、製造時間など、メーカーによってその内容はそれぞれ異なります。
メーカーのホームページに表示が何を示しているのか記載されていることもあるので、気になった方は調べてみましょう。また、万が一購入した商品に問題があった場合、メーカー側はこの表示によって管理情報をスピーディーに把握することができます。
冷凍しておけば期限切れでも大丈夫?
消費期限が短い肉や魚なども、冷凍保存すれば約1ヵ月保存することが可能です。ただし、挽肉は空気に触れる部分が多く酸化しやすいため、約2週間を目安に使い切りましょう。
食材が入っているトレイは素材の性質上、断熱性が高く冷凍に時間がかかります。そのため、冷凍する際はトレイを外し、保存用の密閉袋に入れるようにしましょう。
また、冷凍時間をなるべく短くすることも、おいしさを保つポイントです。冷凍庫に急速冷凍機能がある場合は、それを利用して短時間で冷凍することがおすすめです。
まとめ
賞味期限や消費期限は食品の大半に記載されている身近な表示です。そして、食品を食べるタイミングや安全性を判断する際の参考になる、大事な情報でもあります。
今回はそんな賞味期限や消費期限について、いろいろな観点から解説しました。「期限切れに気付かず、食材を無駄にしてしまった!」という経験が多い方や、「食品ロスの問題にしっかり取り組みたい」という方は、ぜひこの機会に賞味期限や消費期限について知識を深めてくださいね。