食事は栄養バランスが大切ということは分かっていても、どの食品にどんな栄養素が含まれているのかよく分からないという人はきっと多いですよね。
そんな方のために、今回は積極的に摂りたい栄養素やおすすめの食品、または摂り過ぎに注意したい栄養素、バランスの良い食事の摂り方などについてご紹介します。
ぜひ食生活の参考にしてみてくださいね。
栄養バランスの良い食事が健康の秘訣
栄養バランスの良い食事とは、献立に主食・主菜・副菜が揃っていて、様々な栄養素を豊富な種類の食材から摂取できる食事です。
「主食」はご飯・パン・麺類など、糖質を多く含む炭水化物です。糖質は摂り過ぎると脂肪の元になりますが、体のエネルギー源になる重要な栄養素なので、適量を摂ることが大切です。
一方、「主菜」はメインとなるおかずで、肉・魚・卵など、たんぱく質を多く含む食材です。たんぱく質は筋肉や臓器などを構成する栄養素で、体作りには欠かせません。
そして、「副菜」は野菜・きのこ・海藻類などを使ったおかずで、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを多く含みます。体にとって直接的なエネルギー源にはなりませんが、体調を整える大切な役割を担っています。
このようにそれぞれの栄養素が健康維持に役立つため、主食・主菜・副菜をバランスよく食べることが一番のポイントになるのです。
普段の食生活をチェック
栄養バランスの良い食事のポイントが分かったら、普段の自分の食生活と比較してみましょう。
厚生労働省が推奨する野菜の摂取量は1日に350gですが、日本人の多くはこの基準を満たしていません。そのため、野菜をあまり食べていない人や、炭水化物でお腹を満たしているといった人は、栄養バランスがかなり乱れていると考えてよいでしょう。
【こちらもご覧ください】 厚生労働省 スマートライフプロジェクト
また、全体的に食事の量が少ない人も要注意です。ダイエットのために炭水化物やたんぱく質を極端に減らしたり、時間がなくてつい食事を抜いてしまっていては、1日の中で野菜を摂取する機会があったとしても、他の栄養素が足りません。
ダイエットをする場合であっても栄養バランスを考えて行うことが成功の確率を上げてくれます。
ぜひ普段の食事を見直して、足りない栄養素や摂り過ぎてしまっている栄養素について把握してみましょう。
最近ではダイエット向けの宅配弁当サービスなども人気です。わざわざ栄養表示を見ながら買い出しをすることを考えると、すでにダイエット向けに調整されたメニューを気軽に食べれることもダイエット中のストレスを減らしてくれるはずです。
1日の献立はどう決めればいい?
1日に何をどれだけ食べればいいか考える時は、厚生労働省と農林水産省が提唱する「食事バランスガイド」が参考になります。
食事バランスガイドの基本に当てはまるのは、デスクワークなどで1日の活動量が低い男性や、活動量が普通以上の女性です。
基本形に当てはまる人の場合、ご飯中盛り1杯を「1.5」、うどん1杯を「2」とすると、1日の主食目安量は合計で「5~7つ分」です。つまり、朝晩にご飯を1杯ずつと昼にうどんを1杯食べると合計で5つ分となり、おおよその適量となります。
主菜の場合、卵1個や納豆1パックを「1」、魚料理を「2」などとしており、1日の目安量は「3~5つ分」です。
そして、副菜の場合はサラダが「1」、野菜炒めが「2」などとされており、1日の目安量は「5~6つ分」です。
食事バランスガイドではこの他にもいろいろな食品が数値化されているので、ぜひ参考にしてみましょう。
特に大切なのは「三大栄養素」
栄養素の中には、体にとって特に欠かせない「三大栄養素」があります。それらは私たちの体のエネルギー源になったり、体作りに大きな役割を果たす大切なものです。
ここでは、それぞれの栄養素の特徴や具体的な食材などについてご紹介します。食事をする際は特に意識して、三大栄養素をバランスよく摂取できるよう心がけましょう。
たんぱく質
たんぱく質は筋肉や臓器など、体の様々な部分を構成している栄養素です。また、ホルモン・免疫機能・酵素などの働きを調節する役割も持っています。
良質なたんぱく質を多く含むのは、肉・魚・卵・乳製品・豆類などです。
肉や魚を使った主菜はもちろんですが、納豆・豆腐・豆料理などの副菜、牛乳や豆乳などの飲み物など、様々な食品からバランス良くたんぱく質を摂取するのが理想です。1食分のメニューの中に何かしらのたんぱく質が含まれているとよいでしょう。
脂質
脂質は体に悪いものと思われがちですが、実は効率の良いエネルギー源になったり、ホルモンや細胞膜を構成したりと、体にとって重要な役目を果たしています。
食品で多くの脂質を含むのは植物油です。特にえごま油や亜麻仁油は、中性脂肪やコレステロールを低下させる不飽和脂肪酸を多く含んでおり、その健康効果が注目されています。
一方、牛肉や豚肉も脂質を多く含みますが、動物性の脂質は逆に中性脂肪やコレステロールを増加させるため、摂り過ぎに注意が必要です。
また、脂質は体に必要な栄養素である半面、摂り過ぎると肥満の原因にもなります。ダイエット中の方や生活習慣病が気になる方は十分気を付けましょう。
炭水化物(糖質)
炭水化物に多く含まれる糖質は、体のエネルギー源になる重要な栄養素です。
糖質は摂り過ぎると脂肪として蓄積されてしまうため、ダイエットの天敵のように思われがちですが、極端に不足すると筋肉の量が減り、運動の効果が得られません。
そのため、適度な量のご飯・パン・麺類などを食べることは、ダイエット中でも必要なことです。
糖質が気になる場合は、代謝を促進させるビタミンB1を含む玄米・雑穀・全粒粉パンなどがおすすめです。
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不足しがちな栄養素は意識して摂ろう
偏った食生活を送っている人はもちろん、食事に気を付けている人でも、食材の選び方や食べ方などによって栄養素が不足してしまうことがあります。
ここでは、現代人に不足しがちな栄養素やおすすめの食材についてご紹介しましょう。
足りない栄養素を多く含んでいる食材を選び、調理の仕方などにも気を付けて摂取してくださいね。
カリウム
カリウムには体内の塩分(ナトリウム)を排出する働きがあり、血圧を正常に保つために役立っています。
カリウムを多く含む食材は、海藻類・さつまいも・ほうれん草・バナナなどです。
ただし、カリウムは水溶性のため、長時間水に浸したり茹でこぼしたりすると、栄養が溶け出してしまいます。
また、腎臓病の方はカリウムがうまく排出されず、血中のカリウム濃度が高くなってしまうことがあります。食生活を見直す際は、必ず医師や管理栄養士などの指示に従いましょう。
食物繊維
食物繊維は体内で分解されない特性を持つことから、他の栄養素とは少し異なる独自の働きを担っています。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性の食物繊維は消化のスピードを抑えて血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールの排出を助けたりします。
一方、不溶性の食物繊維は腸に刺激を与えて便の排出を促したり、善玉菌のえさになったりします。食物繊維は全般的に野菜・海藻類・豆類・穀類・果物などに多く含まれています。
また、加熱によって壊れることが少なく、キャベツやにんじんなど、加熱することで逆に食物繊維の量が増える食材もあります。
特に野菜類は加熱した方がたくさんの量を食べられるので、蒸したり炒めたりして積極的に摂取するとよいでしょう。
カルシウム
カルシウムは骨や歯の中に存在する重要な成分です。また、血液中にも存在しており、血液中のカルシウムが不足すると、骨から溶け出して補う働きを持っています。そのため、体内のカルシウムが不足しないよう、継続的に食事などから摂取する必要があります。
カルシウムを多く含むのは、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、煮干しやしらすのように骨まで食べられる小魚などです。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも非常に重要で、カルシウムと一緒に摂取することで吸収率を高めることができます。ビタミンDを多く含むのは、鮭・さんま・きのこ類などです。
一方、インスタント食品やスナック菓子などに含まれるリンはカルシウムの吸収を阻害してしまうため、食べ過ぎに注意しましょう。
摂り過ぎに注意したい栄養素は?
栄養素の中には、体にとって大切な役割を持つ半面、摂り過ぎるとかえって健康に悪い影響を及ぼしてしまうものもあります。
そこでここでは、摂り過ぎになりやすい2つの栄養素についてご説明します。
体に必要な働きを理解しつつ、摂り過ぎによって起こるリスクも承知して、適度な量の摂取を心がけましょう。
飽和脂肪酸
三大栄養素の一つである脂質は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分かれます。
飽和脂肪酸は主に動物由来の脂肪で、牛豚の脂身・バター・パーム油などに多く含まれています。体のエネルギー源になる一方で、摂り過ぎると肥満や動脈硬化などの原因になるため、注意が必要です。
一方、不飽和脂肪酸は青魚やオリーブ油などに多く含まれており、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
つまり、同じ脂質でも全く逆の作用があるため、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸を多く摂る方が理想的だと言えるのです。
食塩(ナトリウム)
ナトリウムはミネラルの一種で、体内ではその多くが細胞の外にある体液に存在しています。そして、その体液の浸透圧を調整し、一定の量を保つように働きかけています。
しかし、食事から食塩として過剰に摂取すると、高血圧やがんのリスクが高まることが指摘されています。
厚生労働省では塩分の摂取目標量を男性は7.5g未満、女性は6.5g未満としていますが、成人の平均摂取量は男性が約11g、女性が約9gとかなり高めです。そのため、ほとんどの日本人が減塩をする必要があると考えてもよいでしょう。
濃い味付けの食べ物を控えたり、醤油やソースの量を減らすなど、細かい心がけが大切です。
簡単に栄養バランスをとるコツは?
ここまで、体に必要な栄養素やおすすめの食品、摂り過ぎに注意したい栄養素などについてご紹介してきましたが、毎日の食事の栄養バランスをきっちり計算して考えるのはちょっと難しいですよね。
そんな時はまず、ゆるめのルールで食生活を見直してみましょう。健康に問題がない人であれば、以下のようなルールを実践するだけでも、十分栄養バランスが整うはずです。
主食・主菜・副菜を1セットに
三大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物や、積極的に摂取したい食物繊維やミネラルは、主食・主菜・副菜が揃っていれば大体まかなえます。
主食で炭水化物、主菜でたんぱく質や脂質、副菜で食物繊維やミネラルを摂取すると考えて、これらを1セットとしてみましょう。
この時、主食は糖質の摂り過ぎに注意し、主菜も牛や豚に多い飽和脂肪酸の摂取が続かないようにするのがポイントです。ご飯・パン・麺類は適量を意識して、青魚などを時々食べるようにするとよいでしょう。
一方、野菜や海藻類などを使った副菜は、多めに食べるのがおすすめ。野菜の煮物と海藻のサラダなど、1食に2品くらいあれば理想的です。
副菜をたくさん食べると満腹感が得られるため、自然と炭水化物や肉類の摂り過ぎを防げます。
いろいろな種類の食材を食べる
体に必要な栄養素はたくさんあり、それらが含まれる食材も様々な種類に分かれます。どの栄養素がどんな食材に多く含まれているのかを細かく覚えるのは大変なので、とにかくいろいろな食材を毎日バランスよく食べることを心がけましょう。
同じメニューが続かないようにするだけでも、食生活の偏りが改善されるはずです。
数日から1週間単位でバランスを整える
時間がなくてファストフードやコンビニのお弁当などで済ませてしまったり、外食でこってりした物を食べたりした時は、数日から1週間くらいの単位で食事のバランスを整えましょう。
別の日に野菜や魚などをしっかり食べる、炭水化物や肉を控えめにするといった工夫をすれば、食生活の乱れをリカバリーできます。
栄養バランスの良い食生活を続けよう
私たちの体は食事からたくさんの栄養をもらいながら機能しています。つまり、食生活が乱れていると健康に直接影響するということです。
栄養バランスが気になる方は、ぜひ今回ご紹介したポイントを押さえて食生活を見直してみましょう。
重要な栄養素を積極的に摂取したり、摂り過ぎると良くない栄養素を控えたりすれば、食事の栄養バランスは自然と整います。ダイエットや病気の予防などにも大いに役立ちますよ。